車前草おんばこ)” の例文
荷車のあとには芽ぐんでも、自動車のわだちの下には生えまいから、いまは車前草おんばこさえ直ぐには見ようたってに合わない。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一方タヌはといえば、これまた擂菜ピュウレにするため谷を二つ越え、断崖の危ない桟橋さんばしを渡って、はるかなる島蔭の灯台の廻りに生えている車前草おんばこを採集に出掛けるのであった。
西嵯峨野に近来妙な苔が発生して、其処には凡ての雑草が枯れつくして、只車前草おんばこばかりが繁茂する、そしてその苔は車前草の下葉を地面に吸い附けて、地面と葉との間の狭い空間に生息する。
恩人 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ロミオ それには車前草おんばこが一ちからう。
「これは、車前草おんばこ擂菜ピュウレでない!」という合唱的叫喚シュプレッヒ・コオルによって撃退された。