跪坐ついい)” の例文
郎女が、筆をおいて、にこやかなえまいを、まろ跪坐ついいる此人々の背におとしながら、のどかに併し、音もなく、山田の廬堂を立ち去った刹那、心づく者は一人もなかったのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
あたふた飛んで来て柄杓ひしゃくを取れば、両手を出してゆすぎながら、跪坐ついいる秀をじっと御覧じ、「秀。」屹としたる御召に、少し顔の色を変えて「はい……い。」綾子は声に力をめて
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)