賓客まろうど)” の例文
ここが一番広い座敷で、きょうの賓客まろうどのおもな者は大抵ここに席を占めていた。兼輔も藁褥わらうだの上に引き据えられて又もや酒をしいられた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
近衛このえ殿あたりでさえも、年に一度の式日に、賓客まろうどが馳走を眺めて、口に入れられそうな物は、三宝にのっている小豆餅あずきもちぐらいな物であったという。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わが賓客まろうどのよき小径。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かねてこうと大かたは想像して来た賓客まろうどたちも、予想を裏切らるるばかりの善美の饗応もてなしには、そのやわらかいきもをひしがれた。あるじは得意であった。客もむろん満足であった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
花のうたげのあくる日で、ゆうべから酔いこけた賓客まろうどたちも日の高い頃にだんだん退散して、あるじの軽いしわぶきも遠い亭まできこえるほどに、広い別荘のうちもひっそりと静まっていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)