謳者うたひて)” の例文
が、取り分けて予の心を動かしたのは、その側に立つて歌だけを唄ふ四人の謳者うたひての極めて眞面目な顏であつた。
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
醫師驚きたる面持おももちして、さてはかの謳者うたひては此人なりしか、公衆の稱歎は尋常よのつねならざりき、重ねてわざを演じ給はゞ、世に名高き人ともなり給はんものをなどいへり。
謳者うたひての人物はその詩中に活動して、滿場の客はこれが爲めに魅せらるゝ如くなりき。何等の情ぞ。何等の空想ぞ。題にはタツソオあり、サツフオオあり、地下窟ありき。