號鐘かね)” の例文
新字:号鐘
健は卓の上から延び上つて、其處に垂れて居るなわを續け樣に強く引いた。壁の彼方では勇しく號鐘かねが鳴り出す。今か今かとそれを待ちあぐんでゐた生徒等は、一しきり春の潮の樣に騷いだ。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『は。……いや、それでごあんすでば。今も申上げようかと思ひあんしたども、お話中に容喙くちだしするのも惡いと思つて、默つてあんしたが、先刻その、號鐘かねが鳴つて今始業式が始まるといふ時、お出しになりあんしてなす。ハ、これでごあんす。』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)