苟且こうしょ)” の例文
人ややもすればすなはち護法と称するも、此の如き苟且こうしょの手段に依るに非ざれば以て仏教を保護する能はずとせば、保護したりとて何の効かあらむ。
仏教史家に一言す (新字旧仮名) / 津田左右吉小竹主(著)
「御気の毒だね」よりほかの語が出て来なかったのである、正直なる余は苟且こうしょにも豪傑など云う、一種の曲者と間違らるるを恐れて、ここにゆっくり弁解しておくなり
自転車日記 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
当時の開国論者の多くは真の開国論者に非ず、ただ敵愾てきがいの気を失し、外人の恫喝どうかつ辟易へきえきし、文弱、偸安とうあん苟且こうしょの流にして、而しての鎖国論者中にこそ、かえって敵愾、有為ゆうい活溌かっぱつの徒あり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)