船越ふなこし)” の例文
岩手県船越ふなこしでは津浪の一週間ぐらい前から鼠がいなくなり、田ノ浜では十日ほど前からいなくなった(船越小学校長鈴木忠二郎氏報)。
地震なまず (新字新仮名) / 武者金吉(著)
朝は船越ふなこし村で海女の作業を見、それから多徳たとく島で御木本翁に會ひ、それから賢島から電車に乘つてここまで來たので、もう大分遲く日は西に傾いてゐた。
横山 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
この人の青年のころといえば、嘉永かえいの頃なるべきか。海岸の地には西洋人あまた来住してありき。釜石かまいしにも山田にも西洋館あり。船越ふなこしの半島の突端にも西洋人の住みしことあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
思わずその跡をつけて、遥々はるばる船越ふなこし村の方へ行く崎のほこらあるところまで追い行き、名を呼びたるに、振り返りてにこと笑いたり。男はとみればこれも同じ里の者にて海嘯の難に死せし者なり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)