致死ちし)” の例文
誰やらの詩で読んだ——気狂きちがひになつた詩人が夜半やはんの月光に海の底から現れ出る人魚の姫をいだ致死ちしの快感に斃れてしまつたのも、思ふにう云ふ忘れられた美しい海辺うみべの事であらう。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
之より社中の気風ますます固結してかつて動変することなく、爾後じご王政維新の太平に逢い又無数の事変をも目撃したれども、報国致死ちしは我社中の精神にして、今日我輩が専ら国権の議論を主唱するも
故社員の一言今尚精神 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)