胆吹いぶき)” の例文
旧字:膽吹
胆吹いぶき上平館かみひらやかたの新館の庭の木立で、二人の浪人者が、木蔭に立迷いながら、語音は極めて平常に会話を交わしている——
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
胆吹いぶき、比良、比叡ひえい、いずれにある。先に目通りに水平線を上げた琵琶の水も、ほとんど地平線と平行して、大野につづく大海を前にして歩いているような気分です。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
外の闇というのは、御承知の通り、暁の部分に属するところの胆吹いぶきの山麓でありました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
胆吹いぶきの上平館から、机竜之助の影を追うて飛び出して来た宇治山田の米友が、長浜の町へ来てその姿を見失い、そうして、たずねあぐんだ末が湖岸の城跡に来て、残塁礎石ざんるいそせきの間に
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こうして米友は、美濃、尾張から伊勢路へつづく平野の中を、南宮山をまともに見、養老、胆吹いぶきの山つづきを左右に見て、垂井の駅へ入りました。垂井の宿へ入ると、そこで流言蜚語りゅうげんひごを聞きました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)