職掌柄しょくしょうがら)” の例文
ブラウン氏は、職掌柄しょくしょうがらこういう激情的なちまたの女を扱い慣れているので、すぐに得意の下町調カクネイでくだけて出ながら、ライオンスの口からその話というのを引き出した。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
流石さすが職掌柄しょくしょうがら、部屋から部屋へと、注意深く歩き廻って、押入は勿論、台所の上げ板の下まで覗き込んだが、不思議なことに、猫の子一匹発見することは出来なかった。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
H新聞の松岡は一人暮しで朝おそく起きると、すぐ内職の木炭画の写真肖像を描くのだったが、職掌柄しょくしょうがら、師団の方の戦死将校の肖像を引受けていて、部屋じゅう肖像画だらけであった。
三階の家 (新字新仮名) / 室生犀星(著)