羽翅はがひ)” の例文
さま/″\の手械足枷てかせあしかせで、人を責めようとする窮屈な世の中、くもの巣にかゝつた蝶々蜻蛉もおなじことで、命とたのむ花の露も吸はれず、羽翅はがひをしばられて悶死もがきじに
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
其時は地主も炉辺ろばたを離れた。真綿帽子を襟巻がはりにして、袖口と袖口とを鳥の羽翅はがひのやうに掻合せ、半ば顔をうづめ、我と我身を抱き温め乍ら、庭に立つて音作兄弟の仕度するのを待つて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「復た愚図る。」とお節は子供を抱取つて、羽翅はがひで締めるやうにした。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)