義父おや)” の例文
「ええ。義父おやの花夜叉や仲間の衆は、御上覧田楽を誉れとして下りましたが、私だけは、この鎌倉下りこそ、もう自分の舞台のさいごぞと、ひそかに誓うてまいりました」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやと否めば、義父おやの花夜叉も、憂き目にあい、一座の者も、近江の御領下から追われましょう。なにせい、私たち一座の者は、佐々木家に飼われているお抱えの芸人です」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義父おやの花夜叉にも黙って、彼女はしめし合せた場所へ不知哉丸を抱えて来た。そして泣く泣く右馬介の手へ渡した。——右馬介は、馴れぬ手に、和子を抱き取って、別れぎわにこういった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしが迎えてやるまで、義父おやの花夜叉の許にいるがよい。無情つれないと、恨むか」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)