ことき)” の例文
彼は顔の前に垂れ下った長い髪の毛を振り乱して、ウーンとのけぞったが、そのままこときれて、パッタリうしろに倒れてしまった。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
匕首あいくちかなんかで一突きにえぐられ、あッと叫ぶ間もなくこときれたのにちがいない。このおだやかな死顔を見ると、その辺の消息が察しられるのである。
いつも行儀の良いのを自慢の父親が、床から三尺もはみ出して寢てゐるから娘の眼に變に映つたのも無理はありません。側へ寄つてよく見ると、首に細引を卷いてこときれて居たと言ふぢやありませんか
血の痕を辿って見ると、いちど土蔵の扉のところまで這って行って土扉に手をかけたが、力つきてまた蒲団のところまで戻ってきてここでこときれたのらしい。
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)