維新ゐしん)” の例文
けれども千九百二十五年の衣魚しみは舶来本の背などにも穴をあけてゐる。僕はこの衣魚の跡を眺めた時に進化論を思ひ、ラマルクを思ひ、日本文化の上に起つた維新ゐしん以後六十年の変遷を思つた。
変遷その他 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで彼は、勝見の家に對しても、また父子爵に對してもむほん人となツた。父子爵といふ人は、維新ゐしんのどさくさまぎれに、何か仕事しごとをして、實際の力以上に所謂いはゆる國家に功勞こうらうある一にんとなつた人である。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)