素地きぢ)” の例文
そこで素地きぢを洗ひ出す必要があつたのであらうが、當今の芝居で見るやうな、場違ひの、エロつぽいものも澤山あつたものと思へる。およそ、厭味なのが多かつたことであらう。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
村とはいふものの、途方もなく惨めな部落だつたので! 素地きぢのままで何も塗つてない丸太小屋が十軒ほど、そこここと原つぱのまんなかに剥き出しに突つ立つてゐたきりぢや。
「いゝや、あの子は産れ落ちるとから色が黒かつたい。あれを見さんせ、くびのまはりと来ちや、まるきり墨を流したやうなもん。日に焼けたんでも、あかでもなうて、素地きぢから黒いんや」
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)