笹野さゝの)” の例文
と言ふのは、南町奉行與力の筆頭笹野さゝの新三郎、奉行朝倉石見守の智惠嚢ちゑぶくろと言はれた程の人物ですが、不思議に高貴な人品骨柄です。
「へエ、親分は學があるからたいしたものだ。——笹野さゝのの旦那もさう言つて居ましたよ。平次は四角な字も讀めるから、唯の岡つ引には勿體ないつて」
昨夜ゆうべ八丁堀の組屋敷に泊つて、笹野さゝのの旦那のところで、少しばかりお調べの手傳ひをしてゐると、今朝、まだ薄暗いうちに、蛤町はまぐりちやうの久七親分がやつて來て
「本當とも、笹野さゝのの旦那には、あとでさう言つて置く、——こいつは大變な捕物だ。かつちやならねえ」
現に笹野さゝのの旦那も、昨日お役所でお目にかゝると、熊井熊五郎と言つたやうな筋の惡い曲者が御府内を荒し廻るのは、御上の御威光ごゐくわうにもかゝはることだ、何とか一日も早く召捕つて
平次は、其儘引揚げて兎に角與力笹野さゝの新三郎の耳へ、一件の始末をさゝやいて置きました。
笹野さゝの樣の御慈悲だ——それもこれも。さア立て。」
「留守だよ、笹野さゝの樣のお供で、急の京上りだ」