稗史よみほん)” の例文
それが皮切で、それからは手当り放題に色々なのを読んだが、最も愛読したのは、魯文かだれかゞ中本式の稗史よみほんに縮めた『八犬伝』であつたかと思ふ。
老婆が鑵子かんすの下を吹ッたける間、自分は家の内を見廻した。この家はすすだらけにくすぶり返ッて、見る影もないアバラス堂で、稗史よみほんなどによく出ている山中の一軒家という書割であッた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
其以前は母や兄に絵解えときを聴くのが日課のやうになつてゐた。自身で読んだ最初の小説は、今表題は忘れたが、松亭金水作の稗史よみほんである。草双紙ではない。