称名しようみやう)” の例文
旧字:稱名
その後に居すくまつて、さつきから小声の称名しようみやうを絶たないのは、今度伊賀からともに立つて来た、老僕の治郎兵衛に違ひない。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此所は大日流布だいにちるふの大師の生れさせ給ひたる地にも近く、何と無く心とゞまりて如斯かく草庵を引きむすび、称名しようみやうの声のうちには散乱の意を摂し、禅那ぜんなの行のひまには吟咏のおもひに耽り悠〻自ら楽むに
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
彼は二品をおづおづ主人の枕元へ押し並べると、思ひ出したやうに又、口を早めて、専念に称名しようみやうを唱へ始めた。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)