磨針峠すりばりとうげ)” の例文
「畜生谷を通過したからとて、身が畜生になるわけではあるまい、もしそうだとすれば、狼谷を通れば狼に食われ、磨針峠すりばりとうげを通れば自分の身が針になる」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ゆうべは近江おうみ愛知川えちがわ宿しゅくだった。そして今日も、春の日長にかけて行けば、美濃との境、磨針峠すりばりとうげの上ぐらいまでは、脚をのばせぬこともないと、馬上、うすずきかける陽に思う。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)