眤懇ぢつこん)” の例文
染吉を殺した下手人は、餘つ程染吉と眤懇ぢつこんな奴だ。——染吉の後をつけて來て、妻戀稻荷で勇太郎と話すのを盜み聞きしたんだらう。
近頃疊屋とすつかり眤懇ぢつこんになつたやうですから、いづれあの娘を、駒次郎へ押し付ける積りでせう。此節の武家は、そんな事を
「顏ぐらゐは知つてますがね。もつとも、江戸中の良い女は一と通り知つてるつもりで——でも眤懇ぢつこんといふわけぢやありませんよ」
「それぢや訊くが、お隣の孫三郎が、お前と大層眤懇ぢつこんだつたといふが、若しや、二千兩といふ金を預けては置かなかつたか」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「外ぢやございませんが、小林樣のお宅はツイ御近所のやうですが、小森屋さんと眤懇ぢつこんにしていらつしやることでせうな」
その代り、時には飛んでもない者と、すつかり眤懇ぢつこんになつてゐることがあります。巾着切たつ三などもその一人で、相手は御法の網の目をくゞる、雜魚ざこのやうな男。
「八五郎親分とはすつかり眤懇ぢつこんになつたが、高名な錢形の親分は初めてだ、思つたより若いなア」
出發の日までにこの金の工面が付かなければ、赤井左門腹を切つても申譯しなければならぬ仕儀、工夫に餘つて、日頃眤懇ぢつこんにして居る笹野新三郎に相談もして見ました。
「顏だけは知つて居ますよ。遊佐ゆさ右太吉うたきちとか言ふ、厄介な男で、庄司の若旦那の彌三郎さんは眤懇ぢつこんにして居るやうだが、油斷のならない男です。——少し上方訛かみがたなまりがありますが」
そんなことはあるまい、この仕事はお前に打つてつけだと思つたよ、——なア、八、こちとらは武家が苦手だから、幸ひ隣同士で眤懇ぢつこんにしてゐなさるやうだから、江柄えがら三七郎の調べを
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「吉三郎夫妻とは餘つ程眤懇ぢつこんの樣子で、時々此家へ來るさうですよ」
「城さんの眤懇ぢつこんな方は、他にありませんか」
「師匠も大層眤懇ぢつこんだつたといふぢやないか」
「翁小左衞門樣とは昔からの御眤懇ぢつこんで?」