真背後まうしろ)” の例文
旧字:眞背後
と腕に覚えの由良の伝吉が、無念をこめて真背後まうしろから、鍔もと深くふり下ろした二尺八寸の大脇差。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時にふと気が付いたが、私のすぐ真背後まうしろの席にいつ来たものか十八九のハイカラな女優髷じょゆうまげの女が、青い色眼鏡をかけて、片っ方の眼に薄桃色のガーゼを当てて坐っている。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私の真背後まうしろに居る女優髷の女に見せるために……。何かの合図をするために……。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こっそりと渡殿の欄干をい上り、本堂の外縁にまわり込んでみると、本堂の真背後まうしろに在る内陣と向い合った親柱を、最前の三多羅和尚が双肌脱ぎとなり、声こそ立てねエイヤエイヤと
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なお薄青い寝衣の肱の曲目まがりめと、肩と、臀部の真背後まうしろの処が破れているのが、猛悪もうあくな格闘のあった事を物語っているが、それよりも何よりも警官たちを驚かしたのはマリイ夫人の肉体であった。
S岬西洋婦人絞殺事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)