生世話物きぜわもの)” の例文
源之助はその若い時にはこのように本格の竹本劇が出来たのに、次第にそれから遠ざかって生世話物きぜわものに移って行ったのである。
役者の一生 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
……(あたりを見まわして)まるでこりゃ生世話物きぜわものだな。……上手かみてはおあつらえむきの葦原、下手は土手場で木場につづくこころ、か……。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
団十郎くだいめのすることの方が好きだから——わかりもしないくせに、高尚ぶってるといわれたりしたけれど、もともとお狂言師は、生世話物きぜわものをやらなかったからねえ。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
源之助のような出たとこ勝負の役者には時によって、つぼの外れる所があるが、生世話物きぜわものだと成功する率が多い。生活が即舞台となることが出来るから。
役者の一生 (新字新仮名) / 折口信夫(著)