犬塚信乃いぬづかしの)” の例文
そのうちの一枚は八犬伝の一節で、犬塚信乃いぬづかしの犬飼現八いぬかいげんぱち芳流閣ほうりゅうかくの上で闘っておりますところで、今一つは阿古屋あこや琴責ことぜめの舞台面になっております。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
花房は八犬伝の犬塚信乃いぬづかしのの容体に、少しも破傷風らしい処が無かったのを思い出して、心のうち可笑おかしく思った。
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
馬琴ばきんの八犬伝を守田座の座附作者が脚色したのが大変な評判で、染之助の犬塚信乃いぬづかしのの芳流閣の立ち廻りが、大変よいと云う人の噂でありましたので、私はまた堪らないような懐しさに責められて
ある恋の話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)