新字:為永春水
作爲といへば爲永春水ためながしゆんすゐ梅暦うめごよみにも、小梅の茶屋で、逢曳する所があるね、そして約束の男の丹次郎がなか/\來ないのを、米八よねはちが獨りじれながら待つてゐる。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
巽巳藝妓たつみげいしやきやんな名や、戲作者爲永春水ためながしゆんすゐ述るところの「梅暦うめごよみ」の色男丹治郎などは、つい先頃までの若者を羨ましがらせた代物しろものだ。その狹斜が生んだ、江戸末期的代表デカタンが丹治郎だ。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)