爰処ここ)” の例文
ヤア松のこずえが見える。あの松は自分が土手から引て来て爰処ここへ植えたのだから、これも二十二、三年位になるだろう。
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
爰処ここへこんな三階作りが出来て洋食を食わせるなんていうのは。ヤア品川湾がすっかり見えるネー、なるほどあれが築港ちっこうの工事をやっているのか。実に勇ましいヨ。どしどし遣らなくっちゃいかんヨ。
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
松が四、五本よろよろとして一面に木賊とくさが植えてある、爰処ここだ爰処だ、イヤ主人が茶をたてているヨ、お目出とう、(と大きな声をする。)聞こやしないや。ここは山北だ。おいおいあゆすしはないか。
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)