無落款むらっかん)” の例文
無落款むらっかんがこの種の焼物の本来の性情であります。もとより安土瓶でありまして、主に関東一帯の台所で用いられたごく普通の雑器であります。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その時分の無落款むらっかんのものに極めていものが多かったからかも知れませんが、兎に角近世作家のものが、もっとあってもいいと思ったほどでした。
午前十時の陽が、磨硝子すりガラスをはめた五間ぶっとおしの窓一ぱいに照っており、とこの「平常心」と書いた無落款むらっかんの大きな掛軸かけじくが、まぶしいほど明るく浮き出している。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)