漏斗じやうご)” の例文
その癖その波頭の白い泡の一滴も、恐ろしい漏斗じやうごの中へ落ち込みはしない。漏斗の中は、目の届く限り、平らな、光る、墨のやうに黒い水の塀になつてゐる。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
死んだ祖父に当る人によく似たと、母が時々言つたが、底無しの漏斗じやうご、一升二升では呼気いきが少し臭くなる位なもの。顔色が顔色だから、少し位の酒気は見えないといふ得もあつた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その中に、この植物は、茎の先に、簇々そうそうとして、花をつけた。漏斗じやうごのやうな形をした、うす紫の花である。悪魔には、この花のさいたのが、骨を折つただけに、大へん嬉しいらしい。
煙草と悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ヘルセツゲンの山の巓から渦巻の漏斗じやうごの底を、横に見下ろしたゞけでそれ丈の事は知れるのである。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)