混雜こんがらが)” の例文
新字:混雑
歌の句が片々に混雜こんがらがつて、そゝるやうに耳の底によみがへる。『あの時——』と何やら思出される。それが餘りに近い記憶なので却つて全體みなまで思出されずに消えて了ふ。四邊は靜かだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼の頭腦を支配してゐる種々の形象と種々の色彩の混雜こんがらがつた樣な、何がなしに氣を焦立いらだたせる重い壓迫も、彼の老ゆることなき空の色に吸ひ取られた樣で、彼は宛然さながら、二十前後の青年の樣な足取で
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)