海豹かいひょう)” の例文
ゆえにわが日本人民は、氷山雪屋のうちに住するエスキモーのごとく鯨油を飲み、海豹かいひょうの肉をくらい、寒気と戦わんがためにこの世に生活するものにあらず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
私は曾て旗本の悪童共、水野十郎左衛門みずのじゅうろうざえもん加賀爪甲斐かがづめかいが試みた闇汁のように、無気味な昆蟲こんちゅうや蛇や、あらゆる悪食に箸をつけました。獅子の胎児も、海豹かいひょう睾丸こうがんも、物の数ではありません。
その隙に、千代子は日頃の彼女からはどうしても想像することの出来ない、す早さで、廣介の腕をくぐり抜けると、恐しい勢で、海豹かいひょうの様に水中を跳ねて、真暗な彼方の岸へと逃れました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)