洋杖ケーン)” の例文
彼の上品な洋袴ズボンはところどころ裂け、洋杖ケーンを握るこぶしにはきずができて血が流れだしたけれど、一郎はまるでそれを意に留めないように見えた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二三歩いってはキョロキョロ前後を見廻わし、また二三歩いっては耳を傾け、それからまたすこし行っては洋杖ケーンでもって笹の根もとを突いてみたりするのであった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このとき公園の小径に、一人の怪しい行人こうじんが現れた。怪しいといったのはその風体ふうていではない。彼はキチンとした背広服を身につけ、型のいい中折帽子を被り、細身の洋杖ケーンを握っていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)