泥塗どろまみれ)” の例文
次に七十二三の老婆、世に消残るかしらの雪の泥塗どろまみれにならんとするまで、いたく腰の曲りたるは、杖のたけの一尺なるにて知れかし。うがごとくに、よぼよぼ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二人びきの車が泥塗どろまみれになって、入って来た。車から下りた銀杏返の若い女は、鼠色のコオトをぬいで、草色の薄物うすもので縁に上り、出て来た年増としまの女と挨拶して居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)