殉教者じゅんきょうしゃ)” の例文
それは殉教者じゅんきょうしゃロザレにまぎれもなかった。聖者アクチニオ四十五世の左手は、ふわふわとした絹わたのようなものをつかんでぶら下げていた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すべての殉教者じゅんきょうしゃ、すべての天使、すべての大天使に向かって、自分と共に神の御前にひれ伏して、あらゆる罪人の平等なる赦免を哀願してくれと頼むのだ。
自分を日本へ宣教に派遣した法王庁の学林の友なども、きッと、かれは日本で捕われて殉教者じゅんきょうしゃの死をまっとうしたに相違ないと思っているだろう。いや、きッとそう信じている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正義の殉教者じゅんきょうしゃの子だ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
僕はそのほうが嬉しいくらいですよ……あなたは表面うわべこそ小さな女の子のように笑っていられるが、心のなかには殉教者じゅんきょうしゃの考えをもっていられるのだからね……
こうした優美で高価な版画のほかに、聖徒や殉教者じゅんきょうしゃや僧正などを描いた、どこの定期市でも三カペイカか五カペイカで売っている、きわめて稚拙なロシア出来の石版画が、幾枚も麗々しく掲げてある。