歎異鈔たんにしょう)” の例文
炉のそだ火に当っている老人は、寝所に入る前、必ず仏壇に行った。燈明をあげ、肩衣をつけ、歎異鈔たんにしょうに類したものを唱した。そして口のうちで
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
漱石氏のごときも、その点は私は常に不満であった。聖書や『歎異鈔たんにしょう』のなかには皮肉の調子はどこにも見えない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
十七日、磯辺病院へ入院、気管支炎も扁桃腺へんとうせん炎も回復したが、歯を抜いたあとの出血が止まらず、敗血症になって、人々の輸血も甲斐かいなく、二月七日朝絶息、重態のうちにも『歎異鈔たんにしょう』を読みて
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そして運命の力を感ずる。『歎異鈔たんにしょう』のなかにも、何人も知るごとく
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)