歌詠うたよ)” の例文
紹巴じょうはは来ておるか。……なに、もうくに登って待っておるとか。いや、それは満足。そして都の歌詠うたよみたちも、幾名か連れて来ておろうな」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当年二十四歳の男で歌詠うたよみである。こういうとあまり出し抜けで人の驚くのも無理はない。十年病に臥して妻というものはもちろん妻らしいものも無かった先生に子のあろう筈がない。
正岡子規君 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
などと、日ごろの歌詠うたよみ癖は、口をついて出たが、ついに石山寺の同勢へは落ち合えなかった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うわべは歌詠うたよみの法師か、きらくな雲水と見せかけてこころはゆだんもすきもなく、武田伊那丸たけだいなまるのあとをたずねて、きょうは東、あすは南と、血眼ちまなこの旅をつづけている加賀見忍剣かがみにんけん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)