檢屍けんし)” の例文
新字:検屍
半狂亂の兩親は、檢屍けんしも調べも待たず、四本の手に抱き上げて、よろぼひよろぼひ庭を隔てた自分の家へ擔ぎ込んで行つたのです。
兎に角自身番まで死骸を運ばせて町方役人立合で檢屍けんしを濟ませたのは夜中過ぎ、困つたことに、女の身元がどうしても解りません。
赤羽橋まで一足飛に飛んで行くと、ツイ今しがた檢屍けんしが濟んで、死體と下手人は柴井町の友次郎が始末して、役所へ引揚げたといふ後です。
「ちよい/\人殺しがあるが、檢屍けんしに立會つて見ると、それが大抵たいてい十二支のうちの一つを、身體の何處かにつて居るんだ」
主人金右衞門の死骸は檢屍けんしが濟んだばかりで、二階の八疊に寢かしたまゝ、形ばかりの香華かうげそなへて、娘のお喜多が驅け付けた親類の者や近所の衆に應待し
一家中毒を起して小僧が一人死んだ上、あと幾人かは、生死も解らぬ有樣ですから、平次が行き着く前に、町役人から屆出て朝のうちに檢屍けんしが下だる騷ぎです。
「錢形の親分が此處に居なさるのも、なんかの廻り合せだらう。檢屍けんしの濟む前に、一と通り見て下さい」
外科が言ひ開くだらう——此方から望んで檢屍けんしを受けるわけはねえ、佛を路地へはふり出して置くのはよくないことだ——と申して、到頭此處へ運び入れましたが
「可哀想に——檢屍けんしが濟んだら、早く引取らせるがよい。もう直ぐ八丁堀の旦那方が見える筈だから」
死骸は檢屍けんし前ですが、士分の扱ひで、庭に轉がしても置けなかつたのでせう、座敷の中へ上げて、とこの上に寢かし、形ばかりですが、一と通りのことはしてあります。
名主五人組が立會つて檢屍けんしを受け、土地の御用聞大塚の重三が、委細ゐさい呑込んで探索にかゝりましたが、其處に居合せた錢形の平次の器量の惡さと言ふものはありません。
内々檢屍けんしだけを濟ませて、嚴重に口止めをしたまゝ、下手人の探索を續けて居るのでした。
眞夜中過ぎまで何の變化もなく、檢屍けんしも翌る朝になつたので、一應妓共を歸さうか——とも思ひましたが、若しその中に下手人が交つて居ると、容易ならぬ手落ちになります。
半之丞は、冷たく言ひ放つて、妹の死體の側に、檢屍けんしの濟むのを待つてゐる樣子です。
早速驅け付けて、役人の檢屍けんしの前に、一と通り、急所々々に目を通しました。
檢屍けんしが濟むまでは、指も差させねえやうに、町役人に頼んで來ましたよ」
檢屍けんしは濟んだのかい、番頭さん」