榛莽しんぼう)” の例文
簷を並べていた楼閣は影もなくなって榛莽しんぼうが一めんに繁っていた。彭はもし方角が違ったのではないかと思って、その辺を捜してまわったが、他にそれらしい建物も見えなかった。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
榛莽しんぼう塞りて行路なく、葛藟かつるいを攀じて之を蹈み開いたと伝えられている。
山の今昔 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
明るみから暗いところへ、曲りなりにも緒についた官の意企に従って、そう——かすかながらも植えつけられた文明の場所から、彼らは進んで、求めて、榛莽しんぼうの密林の土地にげこもうとしている。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)