柴折戸しをりど)” の例文
何處から現はれたか、小腰を屈めたのは冷たい美しい女中、雪洞ぼんぼりを左手に移して、離屋の柴折戸しをりどをそつと開けました。
玄關からは上らずに柴折戸しをりどを潜つて庭へ這入ると、鼈甲の大きな老眼鏡をかけた父は白髯しらひげを撫でながら、縁側の日當りに腰をかけて唐本たうほんを讀んで居られたが、自分の姿を見ると、何より先に
新帰朝者日記 拾遺 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
柴折戸しをりどを開いて離屋へ通して貰ひましたが、船の中へは、河岸の石垣傳ひに、往來から直接でも行けるといふことを發見した以外には、何の得るところもありません。