枳園きえん)” の例文
またこれにさきだつこと一年に、森枳園きえんが江戸に帰った時も、五百はこの支度の他の一部を贈って、枳園の妻をして面目を保たしめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この年に森枳園きえんは、これまで抽斎の弟子、即ち伊沢蘭軒の孫弟子であったのに、去って直ちに蘭軒に従学することになった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この詩は維新後森枳園きえんが刊行した。抽斎はただに家庭において王室を尊崇そんそうする心を養成せられたのみでなく、また迷庵の説を聞いて感奮したらしい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
香以は旧に依って讌遊えんゆうを事としながら、漸く自己の運命を知るに至った。「年四十露に気の附く花野かな。」山城河岸の酒席に森枳園きえんが人をしっしたと云う話も、この頃の事であったらしい。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)