木像でく)” の例文
俺は木像でくや、屍だと自分に教えてゐたのである。——その第一日が、そして、もはやこれだつた。
井上玄蕃樣は木像でくも同樣、あとは馬子と青侍が二人だけ、錢形の親分の目さへ光らなきや、六千兩は此方のものと、計略けいりやくは前々から、練りに練られました。最初に親分のふところを拔く役目を
こはされた人は木像でくのやうに何も知らない。切株のあたりの土には、のたうちながら長次が掴んだ爪のあとが今もあるやうに思はれるほど、こはれた姿が生々しく当時を語つてくれてゐるのに。
木々の精、谷の精 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)