木偶にんぎやう)” の例文
「里老の傳説に往昔むかし西宮に百太夫といふもの木偶にんぎやうを携へ淡路に來り、此村の麻績堂をうみだうに長く寄宿せり。時に此村の木偶師にんぎやうし菊太夫なるもの百太夫を伴ひ歸り留ける内、菊太夫が娘に契りて懷胎す。」
おおその時、その時、その破壞された家の下から、どんな一つの物悲しい言葉が聽えてくるか——一つの怪奇な木偶にんぎやうの靈魂は、かれの細長い舌を以てすら「幽冥に於ける思想」を語るであらう。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)