星野温泉ほしのおんせん)” の例文
その時自分は星野温泉ほしのおんせん別館の南向きのベランダで顕微鏡をのぞいていたが、爆音も気づかず、また気波も感じなかった。
小爆発二件 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
信州しんしゅう沓掛くつかけ駅近くの星野温泉ほしのおんせんに七月中旬から下旬へかけて滞在していた間に毎日うるさいほどほととぎすの声を聞いた。
疑問と空想 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
去年の夏信州しんしゅう沓掛くつかけ駅に近い湯川ゆかわの上流に沿うた谷あいの星野温泉ほしのおんせんに前後二回合わせて二週間ばかりを全く日常生活のわずらいから免れて閑静に暮らしたのが
あひると猿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
星野温泉ほしのおんせんへ着いて見ると地面はもう相当色が変わるくらい灰が降り積もっている。草原の上に干してあった合羽かっぱの上には約一ミリか二ミリの厚さに積もっていた。
小爆発二件 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
八月初旬のある日の夕方信州しんしゅう星野温泉ほしのおんせんのうしろの丘に散点する別荘地を散歩していた。とんぼが一匹飛んで来て自分の帽子の上に止まったのを同伴の子供が注意した。
三斜晶系 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
星野温泉ほしのおんせんはちょっとした谷間になっているが、それを横切って飛ぶことがしばしばあった。
疑問と空想 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その夜星野温泉ほしのおんせんへ帰って戸外へ出て空を仰いだら久しぶりで天頂に星がきらきら輝いているのが見えた。T君が今夜は一晩星をねらいながら明かすことであろうと思って寝床にはいった。
小浅間 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この夏信州しんしゅう星野温泉ほしのおんせんから小瀬温泉こせおんせんまで散歩したとき途中で道の別れるところに一人若い男が休んでいたので、小瀬へはこちらでいいかと聞くと、それでは反対で白糸しらいとの滝へ行ってしまうという。
地図をながめて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)