維盛は東国の事情に精通している長井の斎藤別当実盛さいとうべっとうさねもりを召して聞いた。
何かしきりと献言けんげんしている斎藤別当実盛さいとうべっとうさねもりのことばを熱心に聞き取りながら、清盛は、大きくうめいたり、首を振ったり、重盛を亡くしてから老来とみに悄沈していた彼も、にわかに、驚きによみがえって
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)