故主こしゅう)” の例文
故主こしゅうもとに帰参しようとも思い、また才学を負うた人であるから、首尾くは幕府の直参じきさんにでもなろうと思って、機会をうかがっていたのである。そして渋江の家はその策源地であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小「実は斯様な修行者の身の上になって居ながら、姓名を明かすは父の恥、故主こしゅうの恥と心得て明らさまに申さなかったなれども、重三じゅうざの親父なら他言は致すまいが、実は手前が稻垣小三郎でござる」