惨酷さんこく)” の例文
旧字:慘酷
「何者であろうとも、斯様かよう惨酷さんこくなことをするのを見逃しておくのは何事じゃ、ナゼ助けてやらぬ」
いっそう惨酷さんこくなのは、この妙齢の女ののろわれたのが、ただその顔面だけにとどまるということです。けている衣裳は大名の姫君にも似るべきほどの結構なものでありました。
それを聞きまとめてみると、長禅寺で聞いたよりはいっそう惨酷さんこくなものでありました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
どうするつもりだ、何かの無念と、過去の惨酷さんこくなる思い出のために、この男は正気を失って、ここから落ちることを忘れているらしい。道庵の言う通り、落ちれば下にきまっている。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
よしこれほど惨酷さんこくな男であっても、酔ってさえいなければ、これほどのことを高言するでもなかろうけれど、今はこうして言えば言うほど、自分ながら快味が増すのかと思われるばかりであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かえって竜之助の挙動ふるまい惨酷さんこくなのに恨みを抱くくらいでした。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)