悾惚うつとり)” の例文
女は暫時しばし悾惚うつとりとして、そのすゝけたる天井を見上げしが、蘭燈らんとうかげ薄き光を遠く投げて、おぼろなる胸にてりかへすやうなるもうらさびしく、四隣あたりに物おと絶えたるに霜夜の犬の長吠とほゞえすごく
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)