御旅おたび)” の例文
魚の皮みたいなにぶい海が見えた。漁師の家から赤い火がもれていた。御旅おたびがり松は、磯原いそはらの真ん中にあった。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この深川では、夜などは見たこともないが、かえって昼間はどうかすると、御旅おたびの裏の草ッ原で、子を連れて狐がなたに遊んでいたりする事があるという。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九刻ここのつころ、御旅おたび汐見松しおみまつの下で落会っておくんなさいな。——私も、旅支度たびじたくをして行きますから」
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)