御影ぎょえい)” の例文
鶴見は、そこに、はからずも、しこげな御影ぎょえいを仰ぎ見たのである。太秦うずまさ広隆寺の桂宮院けいきゅういんに納めてある太子の御尊像そっくりであった。
肱近ひじちかのテーブルには青地交趾せいじこうちはちに植えたる武者立むしゃだち細竹さいちくを置けり。頭上には高く両陛下の御影ぎょえいを掲げつ。下りてかなたの一面には「成仁じんをなす」の額あり。落款は南洲なんしゅうなり。架上に書あり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)