後場ごば)” の例文
「ええ、後場ごば市況しきょうでございます。新鐘しんかね……」と、細い数字が高らかに読みあげられていった。それはラジオの経済市況にほかならなかった。
人造人間事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「……買え買え。きょうの後場ごばはもっと下るかも知れないが構わずに買え……外電のキューバ島の空前の大豊作は嘘だ……」
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
秋の蜻蛉とんぼが盛んに町の空を飛んだ。塩瀬の店では一日の玉高ぎょくだかの計算を終った。後場ごばうにけた。幹部を始め、その他の店員はいずれも帰りを急ぎつつあった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この時は日柄が三リンボーだったけれども虎の日の友引きだったから、この株とこの株が後場ごばになって盛り返したのだ。
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「きょうはトテモ線がわるいんです。広島か岡山あたりで大雪が降って断線しそうになっているんです。きょうの後場ごばの大阪電話はこの調子だと来ないかも知れません」
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)