引籠ひつこ)” の例文
「でもな、ひとりぢや淋しいだ。和尚さん、何も言はないで、一日自分の室に引籠ひつこんでゐて、話もしねえから……」
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
近頃はお前別して鬱いでをるやうぢやないか、おれにはさう見えるがね。さうして内にばかり引籠ひつこんでをるのがよろしくないよ。この頃はちよつとも出掛けんぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
考出かんがへだすと勉強するのも何も可厭いやになつて、ああ、いつそ山の中へでも引籠ひつこんで了はうかと思ひます。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
祝盃などを受けるおぼえは無いと言つて、手を引籠ひつこめてゐたけれど、なかなかみんな聴かないぢやないか
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)