府中しゅく)” の例文
この頃、頼母は、物思いに沈みながら諏訪神社みや府中しゅくとをつないでいる畷道なわてを、府中の方へ歩いていた。賭場で見聞したことが、彼の心を悩ましているのであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
府中しゅくで殺しては人目につき、後々がうるさいというところから、この農家の納屋で、乾児たちに吩咐いいつけ、その嬲り殺しの最後の仕上げに取りかからせたのであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こいつ何か奸策あってのことだろうと、典膳は、最初は相手にしなかったが、田舎に珍しいお浦の美貌と、手に入った籠絡ろうらく手管てくだとに誘惑そそのかされ、つい府中しゅくの料理屋へ上がった。酒を飲まされた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)